千代田九条の会 が抗議声明
2024年8月21日 千代田九条の会
岸田文雄首相は、2024年8月7日の自民党改憲実現本部会合で「憲法に自衛隊を明記する9条の明文改憲」を国民投票にかけるように作業の促進を指示した。
その後、自らは自民党の裏金事件や異常な物価高騰に対する経済無策などで国民からの怒りが噴出し、政権を投げ出すに至った。しかし後継争いに名乗りを上げている議員らは皆「憲法改正は喫緊の課題」などと改憲を急ぐことを表明しており、誰が後継者になろうとも9条の明文改憲を狙って動きを強めることは明白である。
岸田政権は「安保3文書」で、集団的自衛権を行使できる自衛隊へと、自衛隊の装備と組織をつくりかえる方針を示し、そのために2027年度までに軍事費を2倍化することを、閣議だけで決定した。
また「専守防衛」を投げ捨てる敵基地攻撃能力の保有と大軍拡、「武器輸出はしない」という「国是」を破って武器輸出解禁を決め、自衛隊とNATO加盟国などとの軍事的共同を拡大し、国家主権を売り渡す日米の指揮・統制機能の一体化をアメリカと約束し、核兵器の使用を前提とした「核抑止力」の強化を日米一体ですすめることまで、外務・防衛の閣僚協議、いわゆる「2プラス2」で確認するなど、米軍への「自衛隊属軍化」の危険な道に突き進んでいる。
5年間で43兆円もの軍事費を注ぎ込む大軍拡は、暮らしの予算を削り、国民負担を増大させ、平和も暮らしも破壊するものである。
このように自民公明政権が「戦争する国づくり」へ暴走するなかでの「憲法への自衛隊明記」は、安保法制=戦争法の下でも、集団的自衛権の全面的な行使や、武力行使を目的とした海外派兵はできないと、政府が説明せざるを得なかった憲法9条の規範力が全て取り払われることとなり、これを許せば、海外での武力行使は完全に解禁され、無制限となる。
そもそも日本国憲法9条は、かつて軍国主義日本が中国・東南アジア・太平洋地域へと侵略を拡大し、2千万人以上のアジア諸国民と310万人以上の自国民の命を奪った痛恨の思いを反省し、戦力の保持を禁じ、国の交戦権を否定し、制定したものである。
私たちは「武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」と謳った憲法九条をまもり活かすことを目的とする会として、 自公政権が推し進める「戦争する国づくり、大軍拡・大増税」に反対し、その危険を一気に高める「憲法への自衛隊明記」を阻止するためたたかいを強めることを宣言する。
2024年 8月 21日 千代田九条の会